通常、Chromeは自己署名証明書を「信頼できない証明書」と判断します。その結果、httpsによる接続は拒否されます。
しかし、自己署名証明書を「信頼できる証明書」として、Androidへ意図的にインストールすることで、httpsによる接続が可能になります。
ただし、自己署名証明書が信頼できない点は変わりません。
ですので、パブリックなWebサーバーで、この方法を用いる事は危険です。プライベートなローカルWebサーバーのみで用いるようにして下さい。
※環境:XAMPP 8.2.12
XAMPP Control Panel Version 3.3.0.
Apache 2.4.58
OpenSSL 1.1.1p
Chrome バージョン 113.0.5672.136 (Android版)
Emulator 14.0(U) API 34
証明書の注意
Android Chromeは証明書を保持していません。
ホストの証明処理はAndroidの証明書マネージャーから証明書を取り寄せて行われます。
証明書マネージャーは外部から入手した証明書をインストールする機能を持ちます。
この機能を使って、自己署名証明書をインストールできます。ただし、インストールする証明書はCA証明書である必要があります。
また、最新のChromeは証明対象のホストをSAN(Subject Alternative Name)で評価するようになりました。CN(Common Name)は使われません。
ですので、証明書マネージャーへインストールする証明書は、SANを持つ必要があります。
以下は、証明書のダンプです。Chrome対応は赤字の部分が必要です。
# openssl x509 -text -in server.crt -noout
Certificate:
Data:
Version: 3 (0x2)
Serial Number:
76:8d:03:60:fa:d7:9c:0e:f0:cb:f9:df:a0:fd:bf:ba:9d:b4:19:34
Signature Algorithm: sha256WithRSAEncryption
Issuer: C = JP, ST = SampleKen, L = SampleShi, O = SampleCorp, OU = SampleSect, CN = mysite.example.com, emailAddress = SampleAddr
Validity
Not Before: Nov 20 13:53:37 2025 GMT
Not After : Nov 20 13:53:37 2026 GMT
Subject: C = JP, ST = SampleKen, L = SampleShi, O = SampleCorp, OU = SampleSect, CN = mysite.example.com, emailAddress = SampleAddr
Subject Public Key Info:
Public Key Algorithm: rsaEncryption
Public-Key: (2048 bit)
Modulus:
00:fa:15:e1:32:33:f5:c5:a4:92:54:14:a4:80:fe:
44:51:65:e2:d5:51:9c:0a:8e:c0:7a:fc:f9:69:e2:
...
15:07:91:b8:8a:5b:cc:fe:8d:c6:22:d8:8a:15:94:
7c:3b
Exponent: 65537 (0x10001)
X509v3 extensions:
X509v3 Subject Alternative Name:
DNS:mysite.example.com
X509v3 Basic Constraints:
CA:TRUE
X509v3 Subject Key Identifier:
2A:53:5F:8A:D6:87:36:C7:69:44:1B:30:34:38:CB:77:63:91:57:EB
Signature Algorithm: sha256WithRSAEncryption
Signature Value:
ac:26:d6:d3:77:7b:69:52:75:df:f8:9b:48:de:ab:9d:f2:da:
3c:ce:16:25:42:e6:62:e9:ea:4e:e4:1e:ed:b1:1d:47:dd:92:
...
fb:ba:a3:b7:82:9d:4f:17:c5:1f:ab:e6:a2:4d:a1:d1:1c:2e:
b3:73:93:a8
※証明書の作成は「ローカルWebサーバーのhttps対応(XAMPP編)」を参照
証明書のインストール
アップロード
自己署名証明書をAndroidへアップロードしておきます。今回は、Downloadフォルダへアップロードしました。
ターミナルを開き、「adb push」を使って、下記のように実行して下さい。
> adb push server.crt /storage/emulated/0/Download
server.crt: 1 file pushed, 0 skipped. 0.2 MB/s (1488 bytes in 0.009s)
> adb shell "ls -l /storage/emulated/0/Download"
total 8
-rw-rw---- 1 u0_a191 media_rw 1488 2025-11-20 13:53 server.crt
インストール
Settingsアプリの「Install a certificate」を開きます。
このページは深いところにあるので、SettingsアプリのSearch機能の利用がお勧めです。
「Install a certificate」でアップロード済みの証明書を指定して、インストールします。

証明書の確認
Settingsアプリの「Trusted credentials(信頼された信用証明書)」を開きます。
このページは深いところにあるので、SettingsアプリのSearch機能の利用がお勧めです。
「Trusted credentials」でインストール済みの証明書を指定して、表示します。

httpsアクセス
AndroidのChromeを使ってhttpsでアクセスした結果です。

※アクセスしたWebサーバーについては「ローカルWebサーバーのhttps対応(XAMPP編)」を参照
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