RecyclerView:キャッシュ(CachedViews)のサイズ

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RecyclerViewのリサイクル動作で使われるキャッシュは、サイズを大きくすれば多くのViewHolderが保持できます。その分、多くのメモリを消費します。

ViewHolderを多く保持できたとしても、サイクル動作で効率よく使われなければ、メモリの浪費です。

キャッシュのサイズはRecyclerViewの使われ方よって適切なサイズがあります。

そのため、RecyclerViewはキャッシュのサイズを変更できるようになっています。

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CachedViewsのデフォルトサイズ

CachedViewsのサイズはRecyclerView.RecyclerクラスのmViewCacheMaxフィールドが持っています。

    public final class Recycler {
        ...
        private int mRequestedCacheMax = DEFAULT_CACHE_SIZE;
        int mViewCacheMax = DEFAULT_CACHE_SIZE;
        ...
        static final int DEFAULT_CACHE_SIZE = 2;
        ...  

        public void setViewCacheSize(int viewCount) {
            mRequestedCacheMax = viewCount;
            updateViewCacheSize();
        }
		
        void updateViewCacheSize() {
            int extraCache = mLayout != null ? mLayout.mPrefetchMaxCountObserved : 0;
            mViewCacheMax = mRequestedCacheMax + extraCache;

            // first, try the views that can be recycled
            for (int i = mCachedViews.size() - 1;
                    i >= 0 && mCachedViews.size() > mViewCacheMax; i--) {
                recycleCachedViewAt(i);
            }
        }
		
		...
    }

mViewsCacheMaxはmRequestedCacheMax(初期値:2)とextraCacheの加算値です。

extraCacheの値はLayoutManager(抜粋中のmLayout)に依存します。列に並ぶViewHolderの数(orientation:VERTICALの時)がextraCacheに入ります。

よって、mViewsCacheMaxの値は表のようになります。

LayoutManager (spanCount)
LinearGrid(2)Grid(3)Grid(4)
mRequestedCacheMax2222
extraCache1234
mViewCacheMax3456
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CachedViewsのサイズ変更

mViewsCacheMaxはmRequestedCacheMax(初期値:2)とextraCacheの加算値であることを先に述べました。

このmRequestedCacheMaxはRecyclerView.Recycler#setViewCacheSize( )で変更できるようになっています。

    public final class Recycler {
        ...
        private int mRequestedCacheMax = DEFAULT_CACHE_SIZE;
        int mViewCacheMax = DEFAULT_CACHE_SIZE;
        ...
        static final int DEFAULT_CACHE_SIZE = 2;
        ...  

        public void setViewCacheSize(int viewCount) {
            mRequestedCacheMax = viewCount;
            updateViewCacheSize();
        }
		
        void updateViewCacheSize() {
            int extraCache = mLayout != null ? mLayout.mPrefetchMaxCountObserved : 0;
            mViewCacheMax = mRequestedCacheMax + extraCache;

            // first, try the views that can be recycled
            for (int i = mCachedViews.size() - 1;
                    i >= 0 && mCachedViews.size() > mViewCacheMax; i--) {
                recycleCachedViewAt(i);
            }
        }
		
		...
    }
    ...
    final Recycler mRecycler = new Recycler();
	...
    public void setItemViewCacheSize(int size) {
        mRecycler.setViewCacheSize(size);
    }
	...

これにより、CachedViewsのサイズを変更できます。

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CachedViewsの適切なサイズ

キャッシュのサイズを変更できることがわかったところで、最適なサイズを考察してみようと思います。

例えば、GridLayoutManagerでspanCount:3とし、スクロールした場合のリサイクル動作をあげます。

3列(extraCache:3)を同時にスクロールするのでキャッシュのサイズは5です。

000102
GridLayoutManager 3列をスクロール

... I/Adapter:     View Attached item = Item 9 [pos=9,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item A [pos=10,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item B [pos=11,type=0]
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 13
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 14
... I/Adapter:     View Detached item = Item 2 [pos=2,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 1 [pos=1,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 0 [pos=0,type=0]
... I/Adapter: View Recycled item = Item C [pos=12,type=0]
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12

アイテム9/A/Bを表示した後に、次のアイテムC/D/Eをプリフェッチします。

GridLayoutManager 3列をスクロール

... I/Adapter:     View Attached item = Item 9 [pos=9,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item A [pos=10,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item B [pos=11,type=0]
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 13
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 14
... I/Adapter:     View Detached item = Item 2 [pos=2,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 1 [pos=1,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 0 [pos=0,type=0]
... I/Adapter: View Recycled item = Item C [pos=12,type=0]
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12

スクロールが進むと、アイテム0/1/2が非表示なりCachedViewsに保持されます。しかし、空席が2つしかありません。そのためプリフェッチ中の1つが溢れてRecyclerPoolへ保持されます。

GridLayoutManager 3列をスクロール

... I/Adapter:     View Attached item = Item 9 [pos=9,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item A [pos=10,type=0]
... I/Adapter:     View Attached item = Item B [pos=11,type=0]
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 13
... I/Adapter: Create ViewHolder!! viewType = 0
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 14
... I/Adapter:     View Detached item = Item 2 [pos=2,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 1 [pos=1,type=0]
... I/Adapter:     View Detached item = Item 0 [pos=0,type=0]
... I/Adapter: View Recycled item = Item C [pos=12,type=0]
... I/Adapter:   Bind   ViewHolder!! position = 12

アイテムCのプリフェッチが無くなってしまいました。ここで、再びアイテムCをプリフェッチする動作が発生します。

アイテムCが表示されるまでに、プリフェッチが2回行われる結果になります。この動作は無駄です。

無駄を無くすには、キャッシュサイズを6にして”プリフェッチ”と”非表示による保持”が共存できるようにします。

ですが …

最近のAndroid端末はとても高速なので、この程度の改善くらいでは体感できないことがほとんどです。

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