ビルドスクリプトの推奨がGroovyからKotlin DSLへ

投稿日:  更新日:

Android Studio Giraffe(2023.07)になって、ビルドスクリプトの推奨がKotlin DSLになりました。

この機会に、ビルドスクリプトと記述言語についてまとめます。

※環境:Android Studio Giraffe | 2022.3.1
   :Android Gradle Plugin 8.1.0
   :Gradle 8.0

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GroovyとKotlin

Android StudioはビルドツールにGradleを採用しています。そして、Gradleはビルドスクリプト(パラメータや手順を記した指示書)をGroovyで記述します。

GroovyはJavaプラットフォーム上で動作するプログラミング言語です。ソースコートはコンパイルされてJavaのバイナリコードになり、JVM上で動作します。

また、KolinもJavaプラットフォーム上で動作するプログラミング言語です。

従って、JVM上で動作するアプリはGroovyとKotlinのどちらの言語を用いても作れます。

GroovyとKotlin

言語の特性があるので、向き不向きはありますが…

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DSLとビルドスクリプト

DSL(Domain Specific Language)とは「特定の処理に特化して作られたプログラミング言語」のことを言います。「プログラミング言語」と書きましたが、実際は「関数・クラスを格納したライブラリ」です。

高度な機能がDSL(関数・クラス)に集約されているので、これらを使えば特定の処理が簡素に記述できます。

GradleはJavaプラットフォーム向けのビルドに特化したDSLを提供しています。ビルドスクリプトはDSLを使って簡素に記述できます。

DSLとビルドスクリプト

現在、Gradle(Ver4.0以降)が提供するDSLは、Groovy用の「Groovy DSL」とKotlin用の「Kotlin DSL」があります。

GroovyとKotlin DSL

ですので、ビルドスクリプトは、GroovyまたはKotlinを使った2通りの記述が可能です。

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推奨のビルトスクリプト

Android StudioがFlamingo⇒Giraffeに代わって、推奨のビルドスクリプトがGroovy⇒Kotlinへ変更になりました。

Kotlin DSLが推奨される

推奨が変わっただけで、両方の記述が可能です。ただし、Kotlinへ淘汰される可能性は大きいと思います。早めにKotlinへ移行した方が良いでしょう!

ビルドスクリプト(Kotlin DSL使用)ビルドスクリプト(Groovy DSL使用)
plugins {
    id("com.android.application")
    id("org.jetbrains.kotlin.android")
}

android {
    namespace = "com.example.myapplication"
    compileSdk = 33

    defaultConfig {
        applicationId = "com.example.myapplication"
        minSdk = 24
        targetSdk = 33
        versionCode = 1
        versionName = "1.0"

        testInstrumentationRunner = "androidx.test.runner.AndroidJUnitRunner"
        vectorDrawables {
            useSupportLibrary = true
        }
    }

    buildTypes {
        release {
            isMinifyEnabled = false
            proguardFiles(
                getDefaultProguardFile("proguard-android-optimize.txt"),
                "proguard-rules.pro"
            )
        }
    }
    compileOptions {
        sourceCompatibility = JavaVersion.VERSION_1_8
        targetCompatibility = JavaVersion.VERSION_1_8
    }
    kotlinOptions {
        jvmTarget = "1.8"
    }
    buildFeatures {
        compose = true
    }
    composeOptions {
        kotlinCompilerExtensionVersion = "1.4.3"
    }
    packaging {
        resources {
            excludes += "/META-INF/{AL2.0,LGPL2.1}"
        }
    }
}

dependencies {

    implementation("androidx.core:core-ktx:1.9.0")
    implementation("androidx.lifecycle:lifecycle-runtime-ktx:2.6.1")
    implementation("androidx.activity:activity-compose:1.7.2")
    implementation(platform("androidx.compose:compose-bom:2023.03.00"))
    implementation("androidx.compose.ui:ui")
    implementation("androidx.compose.ui:ui-graphics")
    implementation("androidx.compose.ui:ui-tooling-preview")
    implementation("androidx.compose.material3:material3")
    testImplementation("junit:junit:4.13.2")
    androidTestImplementation("androidx.test.ext:junit:1.1.5")
    androidTestImplementation("androidx.test.espresso:espresso-core:3.5.1")
    androidTestImplementation(platform("androidx.compose:compose-bom:2023.03.00"))
    androidTestImplementation("androidx.compose.ui:ui-test-junit4")
    debugImplementation("androidx.compose.ui:ui-tooling")
    debugImplementation("androidx.compose.ui:ui-test-manifest")
}
plugins {
    id 'com.android.application'
    id 'org.jetbrains.kotlin.android'
}

android {
    namespace 'com.example.myapplication'
    compileSdk 33

    defaultConfig {
        applicationId "com.example.myapplication"
        minSdk 24
        targetSdk 33
        versionCode 1
        versionName "1.0"

        testInstrumentationRunner "androidx.test.runner.AndroidJUnitRunner"
        vectorDrawables {
            useSupportLibrary true
        }
    }

    buildTypes {
        release {
            minifyEnabled false
            proguardFiles getDefaultProguardFile('proguard-android-optimize.txt'), 'proguard-rules.pro'
        }
    }
    compileOptions {
        sourceCompatibility JavaVersion.VERSION_1_8
        targetCompatibility JavaVersion.VERSION_1_8
    }
    kotlinOptions {
        jvmTarget = '1.8'
    }
    buildFeatures {
        compose true
    }
    composeOptions {
        kotlinCompilerExtensionVersion '1.4.3'
    }
    packaging {
        resources {
            excludes += '/META-INF/{AL2.0,LGPL2.1}'
        }
    }
}

dependencies {

    implementation 'androidx.core:core-ktx:1.9.0'
    implementation 'androidx.lifecycle:lifecycle-runtime-ktx:2.6.1'
    implementation 'androidx.activity:activity-compose:1.7.2'
    implementation platform('androidx.compose:compose-bom:2023.03.00')
    implementation 'androidx.compose.ui:ui'
    implementation 'androidx.compose.ui:ui-graphics'
    implementation 'androidx.compose.ui:ui-tooling-preview'
    implementation 'androidx.compose.material3:material3'
    testImplementation 'junit:junit:4.13.2'
    androidTestImplementation 'androidx.test.ext:junit:1.1.5'
    androidTestImplementation 'androidx.test.espresso:espresso-core:3.5.1'
    androidTestImplementation platform('androidx.compose:compose-bom:2023.03.00')
    androidTestImplementation 'androidx.compose.ui:ui-test-junit4'
    debugImplementation 'androidx.compose.ui:ui-tooling'
    debugImplementation 'androidx.compose.ui:ui-test-manifest'
}

Kotlinを使ったビルドスクリプトの記述方法について、「ビルドを構成する」が参考になります。GroovyとKotlinの記述の対比ができて、便利です。

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